Vol.2 イケメンの食器棚

今は5歳の翔太が生活の中心。質問魔で、壊し屋で、よく寝る。でもあと2か月で2人目が生まれてくる。仲良くしてあげてね、お兄ちゃん。

エンジニアである夫の務める工場には、転勤がある。幸い国内だけど、仕方がない。でも、どこに行こうが家族で暮らすと決めている。メガバンクに勤めていた私の父も転勤があったが、いつも家族が一緒だった。母は早くからスマホを使いこなす新型の女性だったわりは、家族が一緒にいなければダメという強いこだわりがあった。私は、単身赴任の夫が浮気をしたり、帰省した時に子どもたちがよそよそしいのはドラマの中だけでしょ、と笑っていた。
が、いつからか母と同じことを言うようになった。

転勤が決まった夫の同僚家族は、転勤中は間に合わせの家具で暮らすと言う。
行った先の部屋がどのようになっていても大丈夫な家具。そりゃ、引っ越しごとに家具を買い替えるわけにはいかない。
落ち着いた時に、家と同時にしっかりした家具を買うのが合理的なのでしょう。

でも、私は違う。食器棚だけはどうしても私の食器棚がいい。

なぜなら、機能と見た目の両方がそろったイケメン食器棚だから。
私が毎日必ず使い、使うたびに使いやすさを実感できて、さらに自慢したくなるオシャレぶり。それを、使い勝手も悪くて、おブスな食器棚で我慢する理由が見つかならい。

家族にとって、家で食べるご飯がとても大事。だから、私が明るくしていられるキッチンでなくちゃ。翔太のためにも、夫のためにも。
そして家族が4人になれば、さらに家の中が楽しい空間であって欲しいと思うのです。

※物語はフィクションです。また、写真はイメージです。